エゾオオカミの剥製が見られる!絶滅した理由とは?
「エゾオオカミを見てみたい!」と思ったら、北海道の施設に出かけてみましょう。札幌駅から徒歩で行ける場所に、エゾオオカミの剥製が見られるところがあります。
エゾオオカミの剥製が見られるのは北海道大学植物園
北海道大学植物園の博物館
エゾオオカミの剥製が見られるのは、北海道大学植物園です。園にある博物館に、絶滅したエゾオオカミの剥製が展示されています。
博物館は、植物館を入って直進した部分にあります。園は広いので、あまり時間が取れない方は、先に博物館へ寄っていきましょう。
外壁が黄緑色をした建物が、博物館本館です。館内に入ると正面にヒグマが登場し、向かって右側に進むとエゾオオカミの剥製が展示されています。
北海道大学植物園のエゾオオカミ剥製
エゾオオカミの剥製は、思っていたより小さい印象でした。しかし野生のイヌ科の動物らしく、目が鋭く牙は鋭利です。家庭で飼われる犬とは全然印象が違います。
北大植物園の様子をもっと知りたい方は、下記の記事が役立ちます。
エゾオオカミが絶滅した理由とは?
博物館に提示されている「エゾオオカミはなぜ絶滅したか?」によると、次のような説明があります。
北海道大学植物園のエゾオオカミ剥製
絶滅したエゾオオカミについて、その生態や絶滅の原因などについては残された数少ない資料よりうかがい知るほかないが、少なくとも、明治に入って以降の北海道の急速な開発がその大きな原因となったことは確実である。それに伴いエゾオオカミの生息域は大いに狭められた。一方で開拓使は鹿肉の缶詰工場を設けてシカの大量捕獲を行ったことから、エゾオオカミの餌である全道のシカは著しく減少し、また、明治12年の大雪によりシカの数が激減したことも絶滅に拍車をかけたとされている。一方、各地でオオカミによる家畜の被害が頻発し、その対策としても毒殺などの駆除が奨励され、その制度が廃止された明治21年までに1539頭ものオオカミが捕獲された。このような原因のほか、当時、飼犬と共に侵入したジステンパーのような伝染病も、群れを作るオオカミのような動物に対しては大きな影響があったものと思われる。しかしながら、現在においても絶滅の真の原因は不明のままで、これらが複合されたものであろう。出典:北海道大学植物園
エゾオオカミとシンリンオオカミを比較してみた
エゾオオカミは絶滅してしまったため、現在生きている個体は見られません。一方で、日本の動物園でも生きた様子が見られるのがシンリンオオカミです。
シンリンオオカミは、カナダに住むオオカミです。エゾオオカミのDNAもカナダに住むオオカミと一致しているため、外観はかなり似ているといえます。
エゾオオカミ | シンリンオオカミ | |
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体長 | 120~129cm | 100~130cm |
体毛 | 黄色っぽい | 灰色かかっている |
エゾオオカミを飼い犬に例えるのは難しいのですが、シンリンオオカミはシベリアンハスキーのような体毛や見た目をしています。シルバーの毛は、雪国で身を隠すのにちょうどいいのでしょうね。
漫画「ゴールデンカムイ」に登場するエゾオオカミの体毛が銀色なのは、シンリンオオカミの影響を受けているのかもしれません。
シンリンオオカミがいる円山動物園
札幌市にある円山動物園では、シンリンオオカミが飼育されています。以前いたのは「キナコ」「ルーク」「ユウキ」「ジェイ」などです。
以前のオオカミ宿舎はとても小さいもので、オオカミは何となく活気がない様子でした。現在のオオカミ宿舎は改善され、本来ある姿を見られるよう、エゾシカとオオカミを隣接する形になりました。
円山動物園のシンリンオオカミは、冬でも屋外で飼育されています。もともと北国で育つ動物のため寒さに強く、冬でも生き生きしています。白銀にいるシンリンオオカミは魅力が増すため、ぜひ冬に訪れてみてください。
施設名 | 円山動物園 |
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住所 | 北海道札幌市中央区宮ヶ丘3番地1 |
入場料 | 大人600円 |
URL | http://www.city.sapporo.jp/zoo/ |
地図 |
旭山動物園のシンリンオオカミ
旭川にある旭山動物園でも、シンリンオオカミの姿が見られます。円山動物園と同様に繁殖活動も挑戦しているようで、時期が重なればオオカミの赤ちゃんの様子が見られます。
旭山動物園も動物本来の姿を再現する飼育方法で、オオカミが遠吠えする様子や、家族でくつろぐ様子などが見られます。
施設名 | 旭山動物園 |
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住所 | 北海道旭川市東旭川町倉沼 |
入場料 | 大人820円・1,000円 |
URL | https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/ |
地図 |
オオカミは生態系で頂点に位置する重要な動物
北海道において、エゾオオカミは生態系の頂点に位置していました。オオカミがエゾシカを捕獲することで、エゾシカが増えすぎることがなかったのです。
現在はエゾシカを捕獲する動物がいなくなり、エゾシカの数は増える一方です。世界中でもオオカミは害獣とされることがありますが、本来は生態系を維持する重要な役割を持っています。
最近では、DNAを使った復活も考えられているそうです。残されているエゾオオカミの剥製は、北海道大学植物園にある2体のみ。もしかしたら、将来はエゾオオカミが生きている姿が見られるのかもしれませんね。